大型輸送艦という名の強襲揚陸艦――最高度の違憲性 1997/2/17


き週刊誌『フライデー』には、たまにまともな写真が載る。 2月28日号「海上自衛隊“PKO空母”おおすみ撮った!」。三井造船玉野(岡山県)で建造中の大型輸送艦「おおすみ」の姿が初めて明らかになった。全長178m、排水量8900t 。この種のものでは最大級。装甲兵員輸送車を4台も積めるホバークラフト(高速揚陸艇)を2隻をもつ。甲板は異様に広く、どう見てもヘリ空母の機能をもつ強襲揚陸艦である。5年前、その計画段階で、拙著『きみはサンダーバードを知っているか』45頁にイラストを載せ、「実質的な小型ヘリ空母」として批判しておいた。いよいよそれが完成に近づいたわけだ(右図)。
LST   PKO等の海外活動に使うためとされていたが、『フライデー』記事は、戦闘機やヘリを搭載して、タンカー等の航路防衛に使えるという「防衛庁関係者」の言葉を紹介している。これは重大である。この艦には兵員1000名が乗れるから、装甲車両と対戦車ヘリをもつ1個戦闘単位を海外に投入可能な能力をもつことになる。艦橋に航空機管制スペースらしきものも見えるから、将来的には垂直離着陸機(VSTOL) を載せるつもりだろう。イージス艦や支援艦艇と組み合わせれば、1個空母機動部隊を日本がもつことになる。艦番号は輸送艦が4100番台で、当初この艦は4111番の予定だった。今回の写真を見ると4001番になっている。明らかに通常輸送艦の位置づけではない。

  海外で何かあったとき、これを外交の切り札にする。また、海外邦人(法人)救出の手段とする。これは9条1項が禁止する「武力による威嚇」にあたる。政府のいう「自衛のための必要最小限度」さえ越える装備であり、最高度の違憲性が指摘されるべきだろう。

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