小樽に米空母が来る 1997/9/1


海道・小樽は私が好きな街の一つだ。素朴さと渋さがいい。魚もうまい。その小樽港に、全長320 メートルの巨大空母インディペンデンスが入港する。「空母1隻ちょっと立ち寄るだけ」という認識は甘い。空母1隻を中心に、巡洋艦・駆逐艦6隻や支援艦艇から成る1個空母戦闘群が編成される。これに、戦闘機、攻撃機、早期警戒機、対潜哨戒機、電子戦機など75〜90機から成る1個空母航空団が配される。重攻撃機1機に、核爆弾B61 が3発搭載可能。一つの航空基地が船に載って動いているわけで、その攻撃力・破壊力は相当なものだ。空母だけで乗員5000人。物資や燃料の補給、これらの人員の休養などのため、小樽は「母港」横須賀のような役割を果たさせられるのか。「軍民共用」の千歳空港(自衛隊が管制する千歳飛行場)は、米軍地位協定2条4項bで米軍の共同使用可能な施設に指定されている。空母艦載機の夜間訓練は厚木基地でやっているから、千歳でも訓練が可能である。北朝鮮や中国との関係で、日本海側が焦点となれば、小樽に来る頻度も増そう。小樽市長は国の要請を拒否できないと、受け入れを表明した。『朝日新聞』 8月23日付北海道版の「地方に『安保』の問い」という識者コメントに私も50行ほど載ったが、一緒にコメントを出した軍事評論家の江畑謙介氏は、「日本が自国だけでなく、アジア太平洋地域の安定に責任を持つつもりなら、国民にもその覚悟が必要」と述べた。小樽市民はがまんしろというわけだ。だが、米空母によって「安全」が守られているという発想がそもそも問題なのだ。昔「砲艦外交」、いま「空母外交」。空母は、他国に対する武力による威嚇の道具である。「動く核基地」を日本が養っているわけで、これこそ、憲法が禁止している武力による威嚇そのものだ。75年以来、神戸市は神戸市港湾条例を上手に運用して、入港する船に「非核証明」を義務づけている。これ以来、米艦艇は1隻も入港していない。阪神大震災のときも米艦艇の救援入港を断った。これだけは立派である。住民の安全を守るため、小樽市にもやれることがある。このままズルズル受け入れていると、日本海側の「準母港」にされかねない。米軍は自治体の姿勢を見ている。日本政府は足元どころか、頭の中身までアメリカになめられきっているが、自治体は足元を見られないように、しっかり自分の頭で判断し、行動すべきである。