1998年最後の「直言」 1998/12/28


の1 年間、「緊急直言」を含め51本を執筆した。このHPを立ち上げてからの合計は106 本になった。ほぼ新書1 冊分の枚数である。毎週更新というのは、週刊誌の連載をやっているようなもので、けっこうきつい。情報が十分でない段階で書くことも多く、けっこうスリリングだ。この機会にバックナンバーを読んで頂ければ幸いだ。今年も実に色々な事件が起きた。98年1 月の年頭「直言」で、私は今年の特徴を「非常事態の年」と書いた。周辺事態措置法案をはじめとするガイドライン関連立法の本格化は言うまでもない。経済・税制・財政の領域でも(不況、失業、自治体財政破綻等々)、犯罪の分野でも(毒物事件、少年犯罪等々)、教育の分野でも(「キレる」子どもたち、「学校崩壊」等々)、まさに「非常事態」とよぶに相応しい状況が生まれている。12月に入って、ついにアメリカがイラク攻撃に踏み切った。タイミングから言って、大統領弾劾をそらすための「やけくそ的攻撃」ということは誰の目にも明らかだ。公然たる国際法違反がまたも繰り返された。年末を迎え、明るいニュースがない。一体、99年はどんな風景になるのだろうか。小松左京の小説『日本沈没』(光文社)がベストセラーになったのは1973年のこと。同じ年『ノストラダムスの大予言』(祥伝社)が出版され、74年のベストセラーになった。あれから4 分の1 世紀が経過し、いよいよ「世紀末不安」本番を迎える。その「先駆け」を示すのが映画「アルマゲドン」だろう。巨大隕石が地球に激突するという設定は「ディープ・インパクト」と同じ(彗星か小惑星かの違いはあるが)。後者が「地球の終わりをどう過ごすか」という人間ドラマに重点が置かれていたのに対し、前者は、小惑星を何とか破壊しようという活劇(掘削)に重きがある。地球の運命を決めるのはアメリカだという相変わらずの傲慢さが鼻をつくし、核兵器の使用(特に放射能の影響)に躊躇しないという点でもアメリカ的だ。こうした愚作の連続に辟易していると、そのものズバリのタイトルの映画も登場した。「ノストラダムス」。またパニックものかと思いきや、これが意外にしぶい歴史もの。16世紀フランスに生まれた大予言者の波瀾に満ちた生涯がテーマの作品で、異端審問官による厳しい宗教弾圧や女性差別などの社会問題も描かれているという。私は、ショーン・コネリー主演の「薔薇の名前」を想起した。でも、若い人々は、ノストラダムス個人の話には関心がなく、空振りに終わる可能性もある。わが日本映画には、世紀末の時代層を映し出すような作品は生まれないのだろうか。映画の話ばかりで、今年最後にしてはまとまりに欠ける「直言」になってしまった。それでは、99年の地球・世界・日本・地域の状況に思いをいたしつつ、読者の皆さん、どうぞよいお歳をお迎え下さい。