緊急直言




7年目の湾岸戦争に反対する 1998/2/11


イツの保守系紙ディ・ヴェルトhttp://www.welt.de)2月11日付は、「オリンピック的平和」について書いている。1916年ベルリン、1940東京、1944年ヘルシンキの各オリンピックは戦争のためになくなった。1980年モスクワはアフガニスタン事件のために西側諸国がボイコットした。「長野」は戦争直前の状態で実施されている。アメリカに対して腰砕けの日本外務省が、「長野」が終わるまで攻撃は控えてほしい、と哀願した。その結果、 2月22日まではイラク攻撃をしないと、米国連大使が昨日言明した(2月10日)。

  7年目の湾岸戦争が秒読み段階にある。米空母機動部隊をはじめ、米海兵隊もクウェートに集結中である。国務長官が飛び回って、根回しも終わった。イラクの姿勢を変えさせるための、さまざまな外交努力や国連を通じた説得など、今回は最初からアメリカの眼中にない。

  91年はさすがに慎重を期して、国連安保理決議を追求した。そして「必要なあらゆる手段」を認めた678号決議を拡大解釈して、戦争に突入した。ベーカー国務長官(当時)は、「国連は米国の国益を促進するための多くの手段の一つにすぎない」とあけすけに述べている(『読売新聞』97年4月13日付) 。OPECの最強硬派イラクの力を弱めること。産油量の多数を占めるクウェートとサウジへの影響力を増す。これを同時に果たすため、アメリカは、イラクのクウェート侵攻を挑発さえした(グラスピー駐イラク米大使らの動き)。元米司法長官のR・クラークは、この戦争を「挑発による過剰防衛」と非難した。はじめに戦争ありき。湾岸戦争の43日間で、約25万発のミサイル・爆弾・砲弾がイラクに対して使われ、さながらハイテク兵器の展示・実演場と化した。

  いま準備されている新しい湾岸戦争の本質は何か。クリントン大統領の「下半身スキャンダル」隠しという不純な動機。軍需産業の活性化とハイテク軍隊の新陳代謝。91年にイラクに止めを刺せなかったフラストレーションを解消し、中東への支配を絶対的なものにする。イラクの査察妨害は、恰好の口実だ。各国に踏み絵を踏ませて、その「忠誠度」をはかる。中国とロシアを除き、アメリカの傲慢な戦争行動に正面から異を唱える国はなくなった。7年前、フリゲート艦3隻を派遣しただけでお茶を濁したオーストラリアも、今回は地上兵力250人の派遣を検討。ドイツは、野党の社民党までがアメリカの武力行使を支持。湾岸戦争への「大連合」がつくられている。ドイツは対空ミサイルに関するアメリカとの新協定(1月1日発効)に基づき、対空ミサイル部隊を担当する。沖縄や本土の米軍基地の動きも急である。新ガイドラインはすでに動きだしている。「オリンピック」の閉会式で聖火が消えると同時に、テレビ画像は選手のシュプールから、ミサイルの航跡に変わるのか。

トップページへ