『ハンギョレ新聞』2004年6月14日「討論と論争」

東北アジア安保と市民社会の役割

  駐韓米軍縮減発表に国全体が揺れ動いた。 戦争の不安感が高まったりもした。 反米雰囲気が韓米同盟を危機に追い込んだとの批判も出た。 自主国防を固めなければならないという声も高かった。 軍備増強論理が後を追った。 しかし安保は必ず、力で守らなければならないのか。 チョン・ウクシク(31)平和ネットワーク代表は真の安保は東北アジアの平和構築だと言う。 だから米軍縮減をきっかけに、南北軍縮へと進めようと主張する。 彼が憲法守護に先駆けてきた水島朝穂(51)早稲田大法学部教授を8日に会った。二人は韓国と日本が手をとりあって、「剣を溶かし、犂を作る」ことができるかどうか、額を突き合わせた。 そこでは、過去清算問題、日本の右傾化等、山越えまた山である。
(左から)チョン・ウクシク平和ネットワーク代表「希望―不安が共存する時代です」
−水島朝穂早稲田大学法学部教授、「武力によらない平和が可能です」

 対談者をお願いするに当たって、悩ましいのが年齢の問題だ。 歳が開いていると、向かい合うことを憚る。 言葉が通じなかったり、体面が立たなかったりしないかという心配のせいのようだ。 二人は20歳も違うので、嫌うのではないかと思った。しかし、意外に二人とも、快く受け入れてくれた。 水島教授は韓国に準備してきた何種類かの講演原稿をまず、チョン代表に手渡した。

水島=今、日本は憲法を改正して国家の姿を変えようとしています。日本国憲法は広島と長崎の被爆後に作られたもので、私は日本国憲法こそが、明白に核時代の憲法だと主張してきました。 軍事力を最終的な平和維持手段とみなす被爆前に作られた国連システムとは異なり、日本国憲法は軍事力を安全保障の手段でとらないという点が特徴です。日本政府は自衛隊の役割を国土防衛に限定しながら憲法との整合性を何とか保とうとしてきました。 軍事力に大きいお金を費やさずに、経済的な成長を図ろうとする政策でした。 端的に言って日米安保条約は日本の軍事的行動は期待せず、米軍基地を守備する防衛隊の役割をさせようということだったです。 在日米軍基地を足場に米軍がアジアで自由に活動させようということだったです。ところが、冷戦が終わった後である1996年、安保条約の‘再定義’が成され、日本も軍事的にアジアに関与することができるようになったのです。
チョン=96年、日米新安保共同宣言が採択された背景と最近日米同盟強化には同じような部分があるようです。 90年代半ば、日米同盟の強化には北朝鮮核問題や中国と台湾の緊張関係で日本の積極的な支援を引き出そうとするアメリカの意図がありました。 最近にも、第2次北朝鮮核問題が発生し、台湾の独立動きがあらわれ、中国の武力使用が言及されたりもしました。 これを口実に米日共同作戦のための同盟も強化されるようです。 とくにブッシュ政権発足後には日米同盟が米英同盟の水準にまで強化されている様相を見せています。

水島=日本がアメリカを後方支援するところ満足するよりは、むしろ独自的な力を強化しようという声もでてきました。日本の中で一種の自主国防派が誕生したのです。 その一方で、アメリカの国益は、すなわち日本の国益だと言う一体派がいます。 このように相反する主張が、与野党の区別なく、お互い入り乱れているのが今日の日本の政治状況です。 最近には、経団連(経済団体連合会)が出した「安全保障に関する提言」など、財界の発言が目立ちます。 財界は憲法改正構想も直接提示しています。 これと関連していわゆる「国益」という言葉が、様々な所で無批判に使われています。 国益が何なのか定義しないで、国益のためにイラクに自衛隊を派遣すると主張する状況にまできました。 付け加えるなら、51年、日本が独立する当時、安全保障をめぐって大きく二つの対立がありました。 一つは国連中心の集団安全保障を、二番目はアメリカ中心の同盟を重視しました。 社会党などは前者を主張してきましたが、今はそんな声が殆ど消えてしまったし、同盟を重視する方向で固まる中に微妙な対立も絡んでいます。

チョン/日本のあきらかな軍事大国化傾向をアジア人たちは憂慮しています。
水島/自衛隊は危険な状態にあります。 テロとの戦争の論理の中で批判出ず。


チョン=この前、ノルマンディー上陸作戦60周年記念式にドイツ総理が参加し、過去についていま一度謝罪して、ヨーロッパの連帯と統合を力説する姿を見ることができました。 相変わらず対立と反目が激しい東アジアとしては、留意すべき所です。 過去の過ちに対して心から謝罪し、これを基礎にヨーロッパ統合を主導したドイツの姿を日本に期待しましたが、日本は過去を合理化して、ブッシュ政権の同盟戦略に編入されてアジアのイギリスになりつつあるようです。 日米同盟強化と、アジア中での日本のアイデンティー確立、未来のビジョンが調和を成しうるとお考えでしょうか。

水島=朝鮮人強制連行と軍隊慰安婦問題に対する判例78件を編集して雑誌を作ったことがあります。 このような裁判が進行するなかで、日本が過去清算問題に真剣に対面しなければならないという声が出ています。 また私も「未来創造としての戦後補償」という主題で韓国、日本、中国の若者たちを集めて討論を試みたことがあります。 若者たち中で、この問題を考える芽が育まれたのです。 しかし多数の日本人が、そうだとは言えない実情です。

チョン=日本右傾化は三つに現れているようです。 歴史教科書歪曲や小泉総理の靖国神社参拝など過去のことを美化しようとする流れがあります。 また周辺事態法、憲法改正の動きまで、憲法体制が根っこから揺れているという法的・制度的な側面があります。 日本は世界2、3位水準の軍事費を支出しています。 日本ではあきらかに軍事大国化の傾向が現われているようで、これに対してアジア人たちは憂慮しています。 このような流れを覆すことができる希望が日本にありますか。

水島=日本国憲法の基礎には広島と長崎があります。 日本が持っている被爆治療能力とノウハウ(→ノウハウ)を世界のために使うべきです。 実際そんな活動が行われています。 1980年代地方自治団体で非核宣言がありました。 広島市長などが中心になって自治体次元で非核政策、平和政策の動きも生じています。 小泉政権がしないなら、自治体水準で、例えば東北アジア自治体連合の中で、平和の枠組を作ろうとする努力も必要だと考えます。 自衛隊は介入軍へと性格が変化していって、危険な状態にあります。 このような方向に対する抵抗が日本で必要ですが、残念ながら、「テロとの戦争」という論理の中で批判が、なかなか出なきません。 私は90年代以来自衛隊を国際救助隊に変えて、アジアと全世界で非軍事的に協力する部隊に転換しなければならないと主張してきました。

チョン=過去清算を始めとして戦後補償問題、憲法改正の動き、過度な軍費支出は北朝鮮と直間接的に関連しています。 日本は北朝鮮との関係でも分水嶺にあると思います。 ブッシュ政権が北朝鮮を「悪の枢軸」だとするのに同意し、対北朝鮮強硬策を固守するのか、でなければ、アメリカとの緊張はあっても、北朝鮮との積極的な関係改善を追究していくのかの分かれ道に立っています。 韓国と同じような状況ですが、日本の対北朝鮮政策が一貫性をなくしたことは事実のようです。 2002年9月小泉総理の平壤訪問以後、アメリカの牽制と拉致問題が突出して、また対北朝鮮強硬策に変わったが、最近には小泉総理が再訪朝しました。 これは結局、日本が中長期的なビジョンと戦略を持って北朝鮮を始めとした東アジア政策を立案するよりは、国内世論と対米関係を意識した即興的な水準を脱しきれないからだと思います。

チョン/韓半島平和協定体制で代替されれば、韓米同盟は根っこから動揺する 水島/おそらく日米同盟強化のために新しい危機を求めようとするだろう

水島=私は家族というキーワードから解いてみます。 75年ヘルシンキ宣言から「ヨーロッパ安全保障協力会議」が生まれました。 ヘルシンキ宣言は三つの柱で成っています。 一、安全保障協力、二は経済・科学技術協力、三は人道的な分野での協力です。 三番目の協力の中には「家族の再結合」というのがあります。 日本の世論は拉致問題を解決するためには、北朝鮮に圧力を加えなければならないという方向に傾きました。 しかし小泉総理の訪北で世論に微妙な変化が生じました。 5人が日本に帰ってきて家族と再会するのを目撃しながら、一方的に北朝鮮に圧力を加えるのが妥当なのに疑念が生じたのです。 地域の中で家族の再結合のための枠組を作る方向に行くべきだという声が高まるでしょう。 韓国にも離散家族、脱北者問題があります。 このようなこともあわせて解決しようとするなら、家族の再結合というキーワードが焦点になる必要があります。 日本が国家主義の方にだけ向かっているのではありません。 地域での安全保障は究極的に「人間の安全保障(human security)」であることを人々が徐々に悟りはじめたと思います。

 韓国と日本の関係を回復しようとすれば、過去清算が先に成されなければならないと、チョン代表が言うと、水島教授は相づちをうちながら、日本の中の小さいが希望的な反省の芽生えをあげて、説いていった。 チョン代表は日本の状況に対して、自己主張を押し立てるよりは、意見を聴こうとした。 「今されたお話を日本政府官僚たちに聞かせたいものです」。水島教授は自分の話を始める前に、まず相手を持ち上げた。

チョン=駐韓米軍3万7500人のうち、3分の1を来年末まで縮減するという話が出て、混乱が起こっています。 韓国人たちの精神世界で韓米同盟は絶対的なものだったからです。 イラクと北朝鮮核問題をきっかけに、ブッシュ政権は日米同盟を米英同盟(の水準)に固めようとしているようです。 アメリカの軍事主義が東アジアでより強力に貫徹される結果を産んでいます。 しかし韓米同盟は根本的な変化を迎える可能性があります。 韓国とアメリカは戦略的利害関係がますます離れてゆく可能性があります。 アメリカは韓半島で戦争を防止することよりは、北朝鮮の核武装を防ぐことが優先目標でありえるが、韓国の立場では韓半島で戦争を防ぐのが先決問題でしょう。 二番目は中国の問題です。 日米同盟強化の核心は中国の脅威に対備して先に包囲して抑制することです。 しかし地理的条件や政治・経済的な利害関係のゆえに、韓国は中国を敵に廻すわけにはいかないのです。 しかし、最近日米同盟関係を見れば、アメリカと日本は韓半島非核化達成のために武力使用も可能だという考えを共有しているようです。 また中国封鎖のために同盟を更に強化する方向で行くと思われます。

チョン・ウクシク 「国家間関係調整のために必ず政府だけが? 市民運動と自治体も積極的な活動を」

水島=最近、ワシントン州ポートルイスにある陸軍1軍団を神奈川県座間基地に移そうとするアメリカ側の動きがあります。 米第5空軍司令部がある東京近郊の横田に航空自衛隊航空総隊司令部を移転することが検討されています。 これは日本とアメリカの軍事同盟が一層強化されることを意味します。 しかし、面白いことは、ナショナリストの石原慎太郎東京都知事が、なぜ首都の近くに米国基地があるのかと問題提起をしてきたことです。 航空自衛隊司令部を移転することに対しては、石原知事がまだ言及していませんが、決して司令部移転が容易く実現されたりはしないでしょう。 石原知事は横田基地を民間空港に変えようと主張しています。 石原知事のような、→ナショナリストは今の日米軍事同盟関係の強化を決して肯定的に考えません。 日本で自主防衛派勢力ができるのです。 また、自民党議員を務めた人物がイラク派兵を差し止める訴訟を起こしています。 保守勢力中でもアメリカ一辺倒の安全保障枠に対して批判的な動きがあるのです。

チョン/中-台湾武力衝突‥アメリカ介入の場合、日本はどうするか 水島/アメリカとともに戦う意志は、日本国民にも自衛隊にもない

チョン=韓半島で停戦協定体制が平和協定体制に代れば、韓米同盟は根っこから動揺するだろう。 韓米同盟は一次的に韓半島での停戦協定体制を維持して管理するものだからです。 最近韓米同盟に亀裂が発生しているというのも、結局、韓半島が徐々に平和体制に移行しているからだと考えることができます。 だとするなら韓半島に平和が到来し、北朝鮮の脅威がなくなれば、日米同盟関係にはどんな変化が現れるでしょうか。また日本の右傾化動きにはどんな影響を与えると考えますか。

水島=そもそも脅威が何なのかに対して、小泉総理は言っていません。 今回の有事法制もやはり、有事法制の対象が何なのかを明確にしていません。 即ち日本の危機管理システムは対象を明確にしないままに作られています。 言い換えるなら、何でも脅威の対象になりうるのです。 朝鮮半島全体が非核化され、北朝鮮の脅威がなくなっても、日米軍事同盟が生き残ることができる道を開いておいたのだと思います。 即ち脅威の対象を地球全体に拡大して、アメリカが危機だといえば、日本も協力するシステムに行くようです。 アメリカの学者である、チャルマース・ジョンソンは、イラク戦争の目的は米国基地をイラクに広げるためだと言っています。 即ち基地のために基地を作ることがアメリカの軍事主義です。朝鮮半島に平和が実現した後にも、多分、日米同盟強化のために新しい危機を求めようとするでしょう。 だから日本国民は危機の内容に対して論議しなければならないのです。 危機が何なのか定義すると、それが解消された時、有事法制などを無くせと言うことができるからです。

チョン=アメリカは韓半島で平和が固められても、日米同盟を維持しながら駐日米軍を大規模で駐屯させることを望むが、日本は変わるのではないでしょうか。旧ソ連は解体したし、北朝鮮もこれ以上、脅威にならなかければ、中国は日米同盟が自分を狙ったものと考え反発するでしょう。 日本の立場で中国を敵に廻すのは国益にも符合しないようですが。

水島=明らかに、日中関係がこれから焦点になるでしょう。 とくに経済的な面で中国市場が益々大事になっています。 もし中国と軍事的衝突を起こそうとすれば、日本の企業たちが批判の声をあげるでしょう。 また32年間、政治と文化分野で日本と中国が交流してきたおかげで、中国を敵視するのに抵抗する勢力ができました。 そんな意味で中国と日本の領土紛争が軍事問題で発展することは考えられない。 ただ日米同盟を強化しようとする勢力が今も領土問題を利用しています。 しかし、これはとても部分的なことで、長期的に日中関係は更に緊密になると思われます。それが日本に利益でもあります。

チョン=東アジアで最大変数は韓半島問題とともに中国と台湾の両岸問題といえるでしょう。 陳水扁台湾総統の独立路線が可視化して、中国と台湾間に武力衝突が発生してアメリカが介入しようとする場合、はたして日本はどうするでしょうか。日本の周辺事態法や、最近の有事法制などを綜合して見ると、日本がアメリカとともに介入することもありえそうです。

水島=まず、そんな状況を想定すること自体を政府は拒否しています。 いつも抽象的に危機だけを話しています。 周辺事態法制定当時、ある国会議員が周辺とは台湾海峡を指すのではないのかと質疑したのに、政府は肯定も否定もしなかったのです。 台湾海峡で武力衝突が起きれば、周辺事態法と有事法制が一緒に作動するでしょう。 そのような可能性が大きいということなので、政府がそんな内容を正確に説明しながら有事法制を作ったのではないのです。 だから日本国民が危機を納得して支持したのではありません。 これは大きい問題だが、また機会かもしれない。 アメリカから見た時、同盟国として日本が持った弱味です。 台湾海峡で武力衝突が発生する時、アメリカとともに戦う意志は日本国民にも自衛隊にもありません。 日本世論調査で憲法改正賛成が51%出たが、同時に平和憲法の核心な9条の改正反対も61%にもなります。 今申し上げた意識が反映されたのです。 ある意味でブレーキ装置があると解釈することもありえます。 沖縄を注目するに値します。 沖縄の場合、これからも米軍基地を続いて維持するのかに対して内部で対立が続いてきました。 ただ、基地を戦争基地で使うことには住民が猛烈に反対しています。 私は沖縄米軍基地一部を公園と運動場に変え、結局、そこに村役場まで作った村長の闘争を本で整理したことがあります。 この闘争は自治体と市民が一つになって、代案を米軍側に提示したことで可能になったのです。

チョン=沖縄活動の成果などを基に日本と韓国の市民連帯も広げていかなければなりません。 しかしミサイル防御(防衛)(MD)に対する日本の態度が重要です。 日本がミサイル防御でアメリカと協力を強化すれば、中国が日本に対して不信を持つ可能性が大きいと思います。 中国と台湾の武力衝突に介入するための、手順として解するからです。 中国との摩擦を予防するという次元でも、日本が北朝鮮と関係改善を積極的に模索し、ミサイル防御への参加理由自体を除去する努力が必要だと思います。

水島朝穂「1980年代自治体次元で非核宣言‥政権がしなければ、自治体の努力も必要」

水島=そのとおりです。 日本がミサイル防衛に協力する名分は、北朝鮮のテポドン・ミサイルに対する防衛ということだけです。 これは過剰防衛です。 私が見ることにはミサイル自体が目的です。 即ち日本国民の税金でアメリカ軍事技術と武器などを買い込むのです。 デポドン・ミサイルの脅威がなくなれば、安全保障論理が実はアメリカの機嫌をうかがうものだという嘲りがあらわれるかも知れません。

チョン=希望と不安が共存する時代のようです。 東アジアどの国もこの地域のビジョンを提示することができないでいます。 アメリカの同盟国の韓国と日本が、どのように共同のビジョンを用意するだろうかが東アジアの未来を左右する変数になるでしょう。 そしてこのためには韓米日の三角軍事協力体制に立ち向かうことができる日韓間の平和ネットワークを構築する問題が、極めて大切です。

 対談を見守っていた日本人留学生たちに水島教授が大きい地図を掲げ持たせた。 普通に見る地図を逆にしたものだった。 これを指して彼は、日本の地方自治体たちがアメリカよりは東北アジアを益々大事だと思っていると説明した。続いて米国基地を住民の空間に変えるために戦った一村長に対する本をチョン代表にプレゼントした。 「ありがとうございます」、チョン代表が日本語で答えた。

水島=日本の富山県で特異な地図を作りました。 これでは日本海(東海)を極東アジアの内海として描いています。 これは自治体次元で太平洋、言い換えるならアメリカだけではなく、中国と朝鮮半島の重要性を益々感じはじめたということを示してくれます。 93年、島根県で「北東アジア地域自治体連合」という会議が最初で開かれ、96年、慶尚北道慶州で発足しました。 即ち東北アジアの自治体連合が緩やかではあれ、一つの枠組として既に存在しているのです。 そして92年から新潟市長を中心に「環日本海(東海)拠点都市化会議」というのが作られて、環境問題などを主題に韓国と中国、ロシアの市長たちが集まっています。 日本では自治体963が外国自治体と姉妹提携を結んでいます。 初期にはアメリカの方が多かったのですが、最近にはアジアが増えて、中国とは290、韓国とは94に至っています。また北朝鮮の元山と鳥取県の境港市が姉妹提携を結んで、今まで関係を維持しています。 自治体次元での交流はとても素朴だが市民運動とともに大事な役割をすると思います。 この交流を全体地域安全保障に連動させていく方法を構想しようと考えます。

水島/日本では自治体963個が外国自治体と姉妹提携 チョン/来年は韓国光復(解放)・日本被爆60周年、新しい未来に市民団体が主導的役割を

チョン=日本地方自治体の動きは韓国でも関心を持たなければならないようです。 国家間の関係を必ず政府だけが調整するという固定観念から抜けだせば、市民運動と自治体も積極的な活動が可能だという事例を聞かせていただいたようです。

水島=日本国憲法が言う武力によらない平和は可能です。 まず、紛争を平和的に解決する技術開発です。 一旦、武力紛争が起きれば、アメリカなどでは軍事介入以外にないと言ってきました。 しかし92年秋からコソボなどにヨーロッパ安保協力機構(OSCE)の非軍事監視団が入って効果的な活動を行いました。 むしろNATOの空襲はコソボ状況をもっと悲惨にさせさえしました。 非軍事的な仲裁と調整が地域機関、あるいは市民団体の活動で実現されます。 次に、「平和エンジンブレーキ」です。 ギアを低めて車を止める技術です。 日本国憲法は「平和を愛好する諸国民(peace-loving peoples)」の役割に注目しています。 これらを束ねて日本は安全を守ると憲法に規定されています。 下からの連帯を通じて戦争を起こそうとする勢力にエンジンブレーキをかけることが必要です。 三つ目は、根本的治療です。 紛争の原因である差別と貧困などを克服しようということです。 例えば、カナダ政府は「ピースビルディング」のためのファンドを作って、そこに市民団体が参加して紛争地域で活動しています。 その中一つが「心の武装解除」です。 ニカラグア武装勢力がお互い対立しているので、この資金を活用して一緒に道路を建設させました。 道路を拓きながら、お互い敵視していた人々が友達になりました。 紛争の根本を治したのです。 こんな活動を日本もしなければというのが私の主張です。

チョン=来年は韓国の光復(解放)60周年、日本の被爆60周年である年です。 同時にアメリカの大統領選結果によっては、東アジアの新しい秩序が現われることもありえる時です。 日本総理が訪韓して過去の侵略で苦痛を受けたアジア人たちに謝罪する姿を見たいです。 これを基に韓国と日本が新しい未来を開拓していくことができるでしょうし。 アメリカの同盟の傘の下にあった韓国と日本が、脱冷戦時代に相応しい新しいビジョンを作っていくことが大事です。 市民社会が主導的役割を果たしたいものです。

水島=同感です。 去年、「日韓市民社会フォーラム」が東京で開かれました。 こんな連帯を重ねていかねばなりません。