もう一つの「超」勉強法
〜広島大学総合科学部『社会文化会報』(1996年1月17日)より



『「超」勉強法』なる本が売れている。乱読・多読を自認する私でも、この種の本には「食欲」がわかない。「立ち読み」ですませた。「面白いことを勉強する」「勉強を楽しいものに変えよう」というコンセプト自体は同感である。これは「料理」についても言えることだ。
 私は九一年に旧東ベルリンに滞在した時期を含め、五年間一人暮らしをしている。その間、私の料理メニューは格段に増えた。ポイントは野菜の活用である。最低五種類は使う。たまに近所の方が自家製のネギや白菜などを差し入れしてくれるのも幸いしている。加える肉の種類により、私のキンピラゴボウには三つのバリエーションがある。「もう一品」も大切だ。酢の物、胡麻和え、納豆おろし…。何でもいい。これで栄養のバランスも確保される。それと時間の短縮。肉や魚などは小さく分けてラップにくるみ、冷凍保存する。必要に応じてこれを電子レンジで解凍して使う。カップ麺はお湯を入れて三分待つ。その時間があったら、一方で即席ラーメンを煮ながら、同時にありあわせの野菜と卵を胡麻油で炒め、冷凍してある焼豚をレンジで温めてのせる。五分でリッチな野菜入りチャーシュー麺の出来上がり。三分待つか、五分動くか。後者が勝っているのは栄養だけではないだろう。
 勉強だって同じことである。社会科学コースの学生諸君も、今日から「アクティヴな自炊」をしてみたら?勉強へのプラスの影響がきっと出てくるだろう。


広島大学総合科学部『社会文化会報』(1996年1月17日)