一体誰を殺しているのか(11月2日)

<誤爆>というのも随分な言葉だと思う。殺される側にとっては「間違えた」で済む問題ではない。三つのケースが考えられるという
《1》情報が不正確で目標そのものを誤る
《2》誤作動や人為ミスで違った場所に着弾する
《3》爆発力が予想以上で結果として住民を巻き込む−。
米軍のアフガニスタン空爆では、《1》《2》の誤爆 が多いらしい
米週刊誌タイムの最新号が「誤爆が15%以上あり、空爆でタリバンが受ける打撃も一日平均、全戦力の1%ほど」と報じている。そんな背景もあるのだろう。「このまま空爆を続けていいのか」と首をかしげる国民が増えているそうだ
米テレビ局などの世論調査では「今後ビンラディン氏の拘束を強く信じる」は28%。二週間前より10ポイントも減った。英国紙の調査でも「空爆を停止して援助物資を送る」に賛成の人が54%に達した
先日テレビで、空爆の賛否を問う英国テレビ局の公開討論会の模様を見た。「そもそも何を攻撃しているのか。思想に爆弾を落としても意味がない」。拍手が多かったのは、反対派の弁論だった▼
「十人の罪人を逃しても一人の無辜(むこ)(無実の人)を処罰することなかれ」。先ごろ、札幌での講演会で水島朝穂早大教授がそんな英法曹界の格言を紹介していた。「なのに、十人の無辜を処罰しても一人のテロリストを逃すなかれ、の状態になっていないか」。水島さんはそう訴える。
(北海道新聞 ■卓上四季 バックナンバー 2001/11/02 14:32)