3・4年 法学演習(憲法)B

(1) 日本国憲法の動態的研究を行う。憲法判例を検討する場合にも、ただ単に判例要旨に簡単なコメントをつけて終わりというのではなく、当該事件の時代的・社会的背景や、訴訟過程などにも分け入り、その判例の憲法社会学的検討にまで踏み込む必要がある。本ゼミでは、「時代の呼吸」をつかむという観点から、情報収集・分析の「センス」を身につけられるように色々と工夫している。ところで、ゼミナールの原語は「セミナーリウム」(苗床)である。種を蒔き、それに水や有機肥料をやり、太陽の光をたっぷり与えて、「問題意識」の果実を育てていく。ゼミは「学問の道場」である。取材能力、文献検索能力、論理的構成力、文章表現能力、プレゼンテーション能力などの錬磨の場である。さらに、ゼミ運営を通じて、教員と学生、学生相互、さらには取材を通じて出会う様々な分野の人々との、まさに「コミュニケーションの道場」である。アポの取り方、意見の聞き方、伝え方、取材後のアフターケアなど。まさに「人間関係の道場」でもある。「社会への窓」を大きく開け、社会現象に対するアンテナを延ばしながら、時代の転換点にあるこの国と憲法の行方について、一緒に考えていこう。「はじめに資格試験や就職ありき」ではない、学問をそれ自体として追求しかつ楽むことをこのゼミのモットーとしたい。そこで得られたセンスや「眼」は、資格試験にも、また就職後にも必ず役に立つはずだ。そうした担当教員の姿勢に共感する、「こだわりの学生」の参加を希望したい。

(2) 参加者の希望に沿って、広く憲法問題全般を対象とする。年に1回以上フィールドワークを行う。97年度:府中刑務所見学、旧陸軍毒ガス島(広島県竹原市大久野島)での合宿、岩国基地周辺調査、広島市長への取材等。98年度:皇居東御苑と沖縄合宿。5 つの班に分かれて、行政、米軍、市民運動の各関係者を取材。琉球大との合同ゼミも実施。99年度:震災対策などをテーマに、関西方面で合宿。4年生はゼミ論文を書く。

(3)(4)担当者の考え方を知る上で、ゼミ開始までに、拙著『武力なき平和』岩波書店、『この国は「国連の戦争」に参加するのか』高文研などを読んでおくとよい。

(5) 報告・討論・合宿への参加姿勢を総合的に評価する。4年生はゼミ論。

(6) 選抜は簡単なレポートを書いてもらう。「私はゼミをこのようにしていきたい」という自分なりのイメージ・方針を書いてもらう。そうした意欲を、選抜の際に考慮する。取材等の関係で、自動車免許および自家用車(任意保険加入済)を持つ者、特に歓迎!

http://mizushima-s.pos.to/