外国法総論(ドイツ法) 水島朝穂 4単位

(1) 講義内容:近代化の過程で、日本はドイツから多くのことを学んできた。法の世界ではそれが際立っている。その意味で、ドイツ法に関する知識を得ることは、日本法に対する理解を深める上でも有益であろう。本講義では、そのドイツ法のアウトラインを講義する。その際、重点は18世紀末から20世紀末までのドイツ憲法史に置かれる。フランス革命の影響を受けたドイツの初期立憲主義からフランクフルト憲法、プロイセン憲法、ビスマルク憲法、ヴァイマル憲法、ナチス時代を経て、戦後のボン基本法と旧東ドイツ憲法、そして90年以降の統一ドイツの基本法へ。ヨーロッパの変貌のなかで、ドイツはいかなる憲法発展をしてきたか。具体的事例を重視しながら講義していきたい。各論的には、ドイツの憲法裁判制度を中心とする司法制度、選挙・政党法制度、基本権保障の仕組みなどについて講義していく。民法や刑法、労働法についても、必要に応じて触れる予定である。

(2) 授業計画:前期はもっぱらドイツ法(憲法)の歴史的発展に重点を置く。前期の終わりまでに、ドイツ法の歴史的考察を終える予定である。後期は、前期における歴史的位置づけを踏まえて、各論的な考察を行う。素材としては、連邦憲法裁判所の判例を用いる。なお、毎回の講義の冒頭の10分間、その一週間で起きた「ドイツの事件」の解説を行う。インターネットで入手した最新情報を紹介する。また、担当者が昨年までの在外研究やそれ以前の現地調査で入手した「ドイツ憲法グッズ」も、適宜見せていく予定である。

(3) 教科書:村上淳一/H.P.マルチュケ『ドイツ法入門』有斐閣を使用する。

(4) 参考文献:高田敏/初宿正典編訳『ドイツ憲法集』信山社、栗城壽夫他編『ドイツの憲法判例』信山社など参照。

(5) 成績評価:学年末試験と、普段の出席状況を考慮して評価する。

(6) その他:ドイツ語の文献を訳したりすることはしないが、多少でもドイツ語ないしドイツの歴史や社会に関心をもっていることが期待される。