2002年のはじめに  2002年1月7日

賀新年。今年も大変な年になりそうだ。決意を固めるという意味では、「謹賀信念」というところか。ともかくも、新たな年の始まりである。おかげさまで「直言」コーナーも、1997年1月3日から毎週更新を続け、今回で270回目となった。このまま順調にいけば、夏には300回連続更新を迎えることができる。今年前半は去年以上に超多忙な日々が続くが、直言の更新だけは続けようと思っている。
  さて、昨年の年頭に「21世紀の『ほら話』」を書いた。3つの「ホラ話」の1つ目は、アジアへの視点だった。昨年3月、タイ、カンボジア、ラオスに調査に行った。これからもアジアに関心をもっていきたい。2つ目は憲法改正と私の著作について。9.11テロが起こり、執筆・出演・講演依頼が急増した。だが、雑誌・新聞などへの執筆は極力抑制し、講演も月1回の地方講演だけに限定して、ほとんどお断りしてきた。共著や分担執筆書は何冊か出版したものの、企画中の単著はいずれも出版できなかった。編集者の皆さん方にはお詫びするほかない。この状況は今年も変わらない。編集者の方々の知恵と工夫を頂いて、うまく出版できる条件を作りたいと考えている。3つ目は健康。昨年はたいした病気もせずに何とか乗りきれた。今年も健康には十分注意していきたい
  さて、今年は早稲田大学教員組合書記長として春闘を仕切らねばならず、給与体系や諸手当など教員の生活に重要な影響を及ぼす「教員諸制度問題」での総長との団体交渉もある。同時に今年は総長選挙の年である(投票・6月14日)。教員組合は職員組合と共に完全中立の立場で、全候補者にアンケートを実施したり、候補者懇談会などを主催して、有権者が的確な判断を下せるよう、情報提供の仕事を行う。民主主義にとって知る権利・情報公開が重要な前提をなすように、大学の自治にとっても情報公開は不可欠である。今年前半は、これらの課題に全力をあげることになろう。
  なお、春闘の一環として、教職員や勤労学生、留学生などのための学内託児所をつくる運動も行う。津田塾大、お茶の水大、広島大など、学内に無認可保育所ないし託児所をもつ大学は少なくない。京都の仏教大や京都造形芸術大でも、昨年夏に学内託児所が開設された。京都造形芸術大では、「約5000人の学生のうち、一割程度が子育て中の父母。利用は限られているが、潜在的なニーズは強い」という(『京都新聞』2001年9月21日付)。日大、日本女子大、法政大では、通信教育の学生のために保育室がある。広島女子大でも、学内託児所のために組合が努力している。そのアンケート調査を見ても、育児をしながら働き、研究を続ける人々の要求は切実である。これは女性の教職員や院生、留学生だけの問題ではない。多様なライフスタイルという観点からは、男性の問題でもある。しかし、早大にはまだ学内託児所がない。教員組合の責任ある地位についてみて、学内にそうした要求があることを知った。実は、私自身、保育所問題には思い入れがある。20代の大学院生のとき、息子を通わせていた公立保育所で事故があった。そのことをきっかけにして、当事者のお子さんとその家族を支援し、保育所の安全対策を求める会の設立に関わり、その代表をやった。助役や保育課長との交渉も行った。父母や保母、救急医療の関係者とも知り合い、乳児医療や保育所問題を集中的に勉強することになった。やがて孫もできるという年齢になって、20年前の体験を思い出しながら、いま再び託児所問題に取り組んでいる。
  今年の春闘では、もう一つ重点課題がある。それは交通問題、具体的にはバス問題である。早大には複数のキャンパスがある。特に所沢(人間科学部)と本庄(高等学院)の交通問題は深刻である。大久保(理工学部)と本部(西早稲田)をつなぐシャトル便の改善も必要である。所沢では、小手指駅と大学とをつなぐバスの便がよくない(片道190円)。西武バスの増便分を大学が負担する形で何とかつないでいるが、便数が少なく、授業との接続も悪い。業を煮やした学生グループが、昨年自分たちでバスを走らせてしまった。すごいパワーである。1日45000円で観光バス会社のバスをチャーター。会員制で片道100円。1日平均150人〜200人が利用した。もっとも、この金額では1日3〜4万の赤字が出る。6週間がんばった末、学生バスは中止された。しかし、不便ならば自分たちで改善しようと、短期間ながら、授業時間帯に合わせて安価なバスを独自に走らせた意気込みは評価に値する。いま、執行委員会内にプロジェクトチームを立ち上げ、所沢のバス問題を抜本的に解決すべく調査・研究中である。いずれ対案をつくって理事会と交渉し、改善をはかることになろう。本庄や大久保、西早稲田のアクセス改善も同様である。
  人にはその時々に与えられた「使命」がある。2002年前半は、これらの「身近な問題」の解決のために全力をあげる。平和・憲法問題に関する私の学問的活動が再開されるのは、10月下旬(書記長任期終了)以降になる。いろいろな要望に十分にお応えできなくて心苦しいが、しばらくの間、ご理解をたまわりたい。